Excelの関数をAIに聞く方法
非エンジニアの聞き方と検算
Excelで「こういう表にしたい」は頭にある。でも、それをどの関数でやるのかが分からない。関数名を知らないと、検索もできません。
私は非エンジニアで、使える関数はSUMとVLOOKUPくらいでした。VLOOKUPも、引数の順番を毎回検索していました。AIに「やりたいこと」を日本語で説明すれば、関数と入れ方が返ってくると気づいてから、検索はほぼしなくなりました。
ただし、返ってきた関数が正しいとは限りません。もっともらしい関数が、間違った答えを出すことがあります。この記事は、聞き方と、答えを信じる前にやる検算の話です。あわせて、会社の表をどこまでAIに見せていいかの線引きも書きます。
関数名を知らなくても聞ける
検索は「関数名 → 使い方」の順でしか調べられません。AIは逆で、「やりたいこと → 関数名と使い方」の順で聞けます。
たとえば「A列に日付、B列に金額が入っている表で、月ごとの合計を出したい」と言えば、どの関数を使えばいいか、どう書けばいいかが返ってきます。関数名を1つも知らなくても聞けます。
私が実際に聞いて、初めて知った関数がいくつもあります。名前を知らなかったので、検索では一生たどり着けなかったものです。
聞き方の型【表の形・やりたいこと・例】
「月ごとの合計を出したい」だけでも答えは返ってきますが、自分の表に合わない答えが返ることが多いです。次の3つを伝えると、そのまま使える答えに近づきます。
| 伝えること | 例 | ないとどうなるか |
|---|---|---|
| 表の形 | 「A列:日付、B列:担当、C列:金額。1行目は見出し、データは2行目から」 | 別の列を前提にした関数が返る |
| やりたいこと | 「月ごとに、担当ごとの金額の合計を出したい」 | — |
| 答えの例 | 「たとえば4月の担当Aなら、1200になるはず」 | 合っているか自分で判定できない |
3つ目の「答えの例」が大事です。自分で1つだけ手計算した正解を持っておくと、返ってきた関数の検算に使えます。この例がないと、関数が動いたかどうかしか分からず、正しいかどうかは分かりません。
実際のプロンプト
・表の形:A列に日付、B列に担当者、C列に金額。1行目は見出しで、データは2行目から100行目まで
・やりたいこと:E列に月(4月、5月…)、F列に担当者を並べた表を作って、G列にその月・その担当者の金額の合計を出したい
・答えの例:4月・担当者Aの合計は 1200 になるはずです
お願い:
・関数はG2に入れる式を1つ、そのままコピーできる形で
・式の各部分が何をしているか、1行ずつ日本語で説明してください
・別の方法があれば、簡単なほうを先に。難しい方法は不要です
・私のExcelのバージョンで使えない関数なら、そう言ってください(バージョン:〇〇)
「各部分を1行ずつ説明して」を入れる理由は、説明が読めれば、次から自分で直せるからです。式だけもらうと、列が1つ増えただけで、また聞くことになります。
「バージョン」を書くのは、新しいExcelにしかない関数を答えられることがあるからです。会社のExcelが古いと、エラーになります。
検算の3ステップ【信じる前にやること】
返ってきた式は、動いても正しいとは限りません。私が毎回やる検算は3つです。
3つやって10分もかかりません。この10分を省いた式で作った表を、会議に出して間違いを指摘されるほうが、ずっと高くつきます。私は指摘されたことがあります。
エラーが出たときの聞き方
式を入れて「#N/A」「#VALUE!」「#REF!」のようなエラーが出たときは、エラーの文字と、入れた式と、その式が見ている範囲のデータの形を伝えて聞きます。
・入れた式:(式をそのまま)
・E2の値:「4月」(文字)/A列の日付:「2026/4/3」のような日付形式
・原因の候補を、可能性の高い順に3つ挙げてください
・それぞれ、確かめる方法を1行で
「原因の候補を3つ」と頼むのは、1つだけ聞くと、それが外れたときにまた聞くことになるからです。3つあれば、順に確かめられます。私の場合、原因はたいてい「文字の『4月』と日付の『4月』を比べていた」のような、型の違いでした。
AIに渡さない情報【表をそのまま貼らない】
ここは会社のルールが最優先です。業務でのAI利用が認められていない場合、この方法は使えません。認められている場合でも、表そのものをAIに貼るのは避けています。
- 表の中身は貼らない——関数を教えてもらうのに、実際のデータは要りません。「A列に日付、B列に担当者」という形だけで足ります
- 担当者名・顧客名・金額——「答えの例」に本当の数字を使いたくなりますが、架空の数字(1200)で十分です。手計算も架空の数字でやります
- ファイルそのものをアップロードしない——ファイルの中には、見えていないシートや、消したつもりのデータが残っていることがあります
- 会社のシステムから書き出した表——見出しの名前だけで、社内の仕組みが分かることがあります。見出しも一般的な言葉に置き換えます
コツは、自分で「架空の小さい表」を3行だけ作って、それで聞くことです。3行で動く式は、100行でも動きます。家計簿の記事で書いた考え方と同じです。詳しくは家計簿をAIで自動化する方法【クレカ明細を貼るだけ】にも書きましたが、家計簿でさえ、貼る前に消すものがあります。
AIに頼らないほうがいいこと
関数を聞くのは得意ですが、頼らないほうがいいこともあります。
- 「この表、何かおかしくない?」という漠然とした質問——表を渡さないと答えられないので、線引きに反します。おかしい場所は自分で絞ってから聞きます
- 会計・税務の計算式——「減価償却の式を教えて」は関数の話ではなく、制度の話です。制度の判断は専門家(税理士など)に確認してから、式だけ聞きます
- マクロ(自動化のプログラム)を書かせる——動きますが、自分で読めないものを会社の表に入れるのは避けています。壊れたときに直せません
AIへの頼み方全般の考え方はプロンプトとは?AIへの頼み方のコツ7つ【NG例・OK例つき】に書きました。Excelの場合は「表の形と答えの例を添える」が、その具体版です。
よくある質問
Q. ChatGPTとClaude、どちらがExcelに強いですか?
私の使い方(関数を聞く)では、差を感じていません。どちらでも、聞き方が悪ければ答えも悪いです。使い慣れたほうで十分だと思います。
Q. Googleスプレッドシートでも同じですか?
ほぼ同じですが、関数名や使える関数が一部違います。「Googleスプレッドシートです」と最初に書けば、それに合わせて答えてくれます。書かないと、Excelの関数が返ってきてエラーになることがあります。
Q. 式が長すぎて読めません
「この式を、途中の列を使って3つに分けてください」と頼みます。1つの長い式より、3つの短い式のほうが、自分で直せます。見た目は悪くなりますが、会社の表では読めることのほうが大事でした。
Q. 検算で合わなかったら、どう聞き直しますか?
「4月・担当者Aは1200のはずですが、式の結果は900でした。差の300はどこから来ていますか」と、期待した値と実際の値と差を伝えます。「合いません」だけでは、AIも分かりません。
Q. 関数を覚えなくてよくなりますか?
覚えなくても聞けますが、説明を読んで理解するようにしないと、毎回同じことを聞き続けます。私は「各部分を1行ずつ説明して」と頼んで、それを読むようにしてから、少しずつ聞かなくて済む式が増えました。数は数えていません。
- AIには「やりたいこと → 関数」の順で聞ける。関数名を知らなくていい
- 聞くときは表の形・やりたいこと・手計算した答えの例の3つを添える
- プロンプトに「式は1つそのまま」「各部分を1行ずつ説明」「バージョン」
- 検算は①手計算した1か所と比べる ②合計の合計 ③変な値を入れて壊れ方を見る
- エラーはエラー文・式・データの形を添えて「原因の候補を3つ」
- 表の中身・名前・金額・ファイルは渡さない。架空の3行の表で聞く
- 会計・税務の式は専門家に確認してから。マクロは自分で読めないなら入れない
関数をAIに聞くようになって、検索する時間はなくなりました。代わりに、検算する時間ができました。差し引きで速くなったかは、計っていないので分かりません。ただ、「動いたから大丈夫」で会議に出して指摘される回数は、検算を始めてから減っています。それだけで、私には十分でした。

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