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プレゼン資料の構成を
AIで作る方法
プレゼン資料が進まない理由は、たいていデザインではありません。「何を、どの順で言うか」が決まっていないまま、スライドを作り始めているからです。
私は以前、PowerPointを開いてから考えていました。これが最悪でした。1枚目のタイトルで悩み、レイアウトをいじり、結局中身が決まらないまま時間だけが過ぎます。
いまは構成をテキストで確定させてから、初めてPowerPointを開くようにしています。その構成づくりをAIに手伝ってもらう方法をまとめました。
順番を変えるだけで速くなる
私が変えたのは、この順番だけです。
| 以前 | いま |
|---|---|
| PowerPointを開く | テキストで構成を書く |
| 1枚目を作りながら考える | 1行1スライドで並べる |
| 途中で順番を変えて作り直す | テキストの段階で並べ替える |
| デザインを整える | ここで初めてPowerPointを開く |
ポイントは「並べ替えのコストを下げる」ことです。スライドを作ってから順番を変えるのは大仕事ですが、テキストの行を入れ替えるのは一瞬で終わります。
AIに渡す4つの情報
構成案の質は、渡す情報でほぼ決まります。最低限これだけは書きます。
| 項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| ①目的(相手にどうしてほしいか) | これが曖昧だと構成が決まらない |
| ②聴衆(誰が聞くか・前提知識はどれくらいか) | 説明の深さが変わる |
| ③持ち時間 | スライド枚数が決まる |
| ④材料(伝えたい事実) | ここは自分にしか出せない |
特に①が大事です。「承認してほしい」のか「知っておいてほしい」のか「意見がほしい」のかで、構成はまったく変わります。 ここを書かずに頼むと、当たり障りのない報告型の構成が出てきます。
数字と固有名詞の扱い
社内資料は、そのまま渡すと情報が出ていきます。私は次のように置き換えてから渡しています。
- 取引先名 → A社・B社
- 人名 → 担当者X・部長Y
- 非公開の金額 → ◯百万円規模/比率だけにする
- 製品名・システム名 → 設備1・システムA
構成案を作らせるだけなら、正確な金額はほぼ不要です。「500万円」でも「◯百万円規模」でも、出てくる構成は変わりません。実際の数字はPowerPointに入力するときに自分で入れます。
基本のプロンプト
・目的:(例)予算の承認をもらう
・聴衆:(例)部長1名。技術的な詳細は知らない
・持ち時間:10分
・形式:1行1スライドで、スライドタイトルと、そこで言う一言だけを書いてください
・私が渡していない数字や事実を追加しないでください
・各スライドに「なぜこの順番か」を一言添えてください
【材料】
(箇条書きを貼る)
太字の3行が効きます。
- 1行1スライドにすると、文章ではなく骨組みが返ってきます。長文で返されると結局読み直す手間がかかります
- 数字を追加させないのは必須です。放っておくと「コスト30%削減見込み」のようなもっともらしい数字を勝手に入れてきます
- 順番の理由を書かせると、納得できない箇所がすぐ見つかります。自分で並べ替える判断がしやすくなります
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出力サンプル(予算申請)
説明用に、架空の案件で試した例です。
2. 結論:◯百万円規模の更新をお願いしたい(先に結論。承認が目的のため)
3. 現状:導入から15年、昨年度に停止2回(事実だけを提示)
4. 放置した場合:修理費の増加と停止リスク(判断材料)
5. 提案内容:更新の範囲と期間3か月
6. 費用:申請額の内訳
7. スケジュール:着手から完了まで
8. お願い:いつまでに承認が必要か(次の行動を明示)
注目してほしいのは、削減率や効果の数字がどこにも入っていない点です。私が渡していないからです。ここに勝手な数字が入っていたら、そのプロンプトは失敗しています。
目的別の構成パターン
| 目的 | 基本の流れ |
|---|---|
| 承認をもらう(予算・稟議) | 結論 → 現状 → 放置した場合 → 提案 → 費用 → お願い |
| 報告する(月次・進捗) | 結論 → 実績 → 課題 → 次の予定 |
| 提案する(業務改善) | 課題 → 提案 → 効果 → コスト → 反対意見への回答 |
| 説明する(新制度・手順) | 何が変わるか → いつから → 誰が何をするか → 困ったときの連絡先 |
社内プレゼンで共通しているのは、結論を先に置くことです。経緯から話し始めると、聞き手は「で、何をしてほしいの?」と考えながら聞くことになります。
そして最後のスライドは、「まとめ」より「お願い」にしたほうが動きます。「以上です」で終わると、その場で何も決まらないまま解散になりがちです。「◯日までにご承認いただけますか」まで書いておきます。
想定質問を先に出させる
これが個人的に一番役に立った使い方です。構成ができたあとに、こう頼みます。
・厳しい質問も遠慮せずに書いてください
・「答えられないと承認が止まりそうな質問」から順に並べてください
・回答は書かないでください。質問だけにしてください
回答を書かせないのがポイントです。答えを考えるのは自分の仕事だからです。AIの回答をそのまま覚えても、突っ込まれた瞬間に崩れます。
実際にやってみると、自分では気づいていない穴が3つくらい出てきます。「他の選択肢は検討したのか」「なぜ今年度なのか」——このあたりは高い確率で聞かれます。
構成が決まったあとの作業
構成がテキストで固まったら、ようやくPowerPointを開きます。ここから先は、AIより自分の手のほうが速いです。
- 1スライド1メッセージを守る。伝えたいことが2つあるならスライドを分ける
- スライドのタイトルは「〜について」ではなく、言いたいことそのものにする(「費用について」→「費用は◯百万円、3年で回収」)
- 文章は箇条書きに。読み上げる文章をスライドに書かない
- 数字は自分で入れる。ここは絶対にコピペしない
2つ目は効果が大きいです。タイトルだけ読んでいけば話の筋が通る状態にしておくと、資料を後から読む人にも伝わります。
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AIに任せてはいけないこと
- 数字と効果の予測——「◯%改善見込み」は、根拠を自分で説明できないなら書かない
- 他社事例の引用——AIが挙げる事例は事実確認が必要です。存在しない事例を出すことがあります
- 法令・規格への適合の判断——社内の担当部署か専門家の領域です
- 人事や個人の評価に関わる内容——そもそも外部サービスに出すべきではありません
特に2つ目は要注意です。「他社ではこうしています」と資料に書いたのに、その事実が確認できなかった——これは信用に直結します。出典が確認できないものは載せないのが安全です。
よくある質問
Q. スライドそのものを作ってもらえませんか?
テキストの構成案までにしておくのをおすすめします。理由は修正が効かなくなるからです。ファイルの形で出てくると、直すのが面倒になって、納得していない構成のまま提出しがちになります。
Q. どれくらい時間が変わりましたか?
資料そのものを作る時間はあまり変わっていません。減ったのは「何を書くか決まらずに固まっている時間」です。私の場合、着手までに1時間かかっていたのが10分程度になりました。
Q. 構成案が的外れなときは?
ほぼ「目的」の書き方が曖昧なときです。「予算のプレゼン」ではなく「◯百万円の予算を、今月中に承認してもらう」まで具体的に書くと、構成が一気に締まります。
Q. 社外向けのプレゼンでも使えますか?
構成づくりの考え方は同じですが、社外向けは渡す情報の管理がより重要になります。提案先の企業名や、まだ公表されていない案件の情報は入れないでください。
Q. 報告書にも同じ方法が使えますか?
使えます。書類ごとの型やプロンプトはAIで報告書を書く方法にまとめました。会議の記録についてはAIで議事録を作る方法があります。
- 時間を食っているのは資料作成ではなく「構成が決まらない時間」
- テキストで構成を固めてからPowerPointを開く。並べ替えのコストが下がる
- AIに渡すのは目的・聴衆・持ち時間・材料の4つ
- 目的は「相手にどうしてほしいか」まで具体的に書く
- 取引先名・非公開の金額は置き換えてから渡す。構成案づくりに正確な数字は不要
- プロンプトに「渡していない数字を追加しない」「1行1スライド」を入れる
- 想定質問を10個出させると、自分では気づけない穴が見つかる(回答は自分で考える)
- スライドのタイトルは「〜について」ではなく言いたいことそのものに
- 最後のスライドは「まとめ」より「お願い」
- 他社事例は確認できないものを載せない
資料作成が苦手だと思っていましたが、実際に苦手だったのは「決めること」でした。構成を先に文字で確定させるだけで、そこから先は作業になります。


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