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職務経歴書をAIで書く方法
下書きの作り方と、やってはいけないこと
職務経歴書が書けない理由は、文章力ではないと思います。自分がやってきたことを、自分では「大したことない」と思っているからです。毎日やっていることは当たり前になっていて、価値として見えなくなっています。
ここはAIが助けになる部分です。ただし、使い方を間違えると、経歴詐称という取り返しのつかない事故につながります。この記事では手順と一緒に、その線引きも書きます。
職務経歴書で手が止まる理由
私が実際に詰まったポイントは3つでした。
| 詰まるところ | 本当の原因 |
|---|---|
| 書くことがない気がする | やったことを思い出せていないだけ |
| どう書けば伝わるか分からない | 社内の言葉のまま書こうとしている |
| 自己PRが書けない | 強みを自分で決められない |
このうちAIが代われるのは2つ目だけです。社内でしか通じない言葉を、外の人に伝わる言葉へ翻訳する——ここは本当に得意です。
逆に1つ目と3つ目は、材料が自分の中にしかないので、AIには手が出せません。ここを飛ばしてAIに丸投げすると、当たり障りのない、誰のものでもない文章が出てきます。
先に:AIに任せてはいけない部分
手順より先に、こちらを書きます。ここを外すと便利さが全部裏目に出るからです。
特に危ないのが、AIに「もっと魅力的に書いて」と頼んだときです。材料が足りないと、AIは空白を埋めるために具体的な数字を創作します。「業務効率を30%改善」といった、いかにもありそうな一文が勝手に入ってくることがあります。
本人にその自覚がなくても、書類に書いた以上は本人の申告です。面接で根拠を聞かれて答えられなければ、そこで終わります。
渡してはいけない情報
職務経歴書には、現在の勤務先の内部情報が入りがちです。外部のAIサービスに渡す前に、次のものは外してください。
| 渡さないもの | 理由 |
|---|---|
| 取引先名・案件名 | 守秘義務に触れる可能性がある |
| 公表されていない売上・予算・原価 | 会社の非公開情報 |
| 社内システム名・独自の仕組みの詳細 | 同上 |
| 同僚・上司・部下の氏名 | 他人の個人情報 |
| 自分の住所・電話番号・生年月日 | 文章作成に不要 |
| まだ公になっていない転職の事実 | これ自体が守りたい情報のはず |
やり方は難しくありません。「取引先A社」「年間予算◯千万円規模」のように匿名化・丸めた状態で渡し、完成後に自分で戻すだけです。会社が生成AIの利用ルールを定めている場合は、そちらが優先します。
手順①棚卸し(自分でやる)
ここが一番時間がかかりますが、飛ばせません。紙でもメモアプリでもいいので、思い出せる限り書き出します。文章にする必要はありません。
書き出す項目
- 担当した業務(部署異動ごとに分ける)
- 扱った規模(人数・件数・期間・おおよその金額)
- 自分が判断したこと(言われてやったこととは別に書く)
- 改善したこと、変えたこと
- 教えた人、任された役割
- 資格・研修・使えるツール
- うまくいかなかったこと(面接で聞かれます)
コツは「自分が判断したこと」を分けて書くことです。採用側が見たいのは作業の内容より、どこまで自分で決めていたかだと感じました。
思い出せないときは、手帳やメールの送信済みフォルダを月ごとに眺めると出てきます。ここでAIに「思い出す質問を10個出して」と頼むのは有効です。答えは自分で出しますが、問いはAIに作ってもらえます。
手順②数字にする
職務経歴書は、数字が入るだけで一気に読みやすくなります。ただし盛らないことが絶対条件です。
| 数字にできるもの | 書き方の例 |
|---|---|
| 期間 | 「同業務を8年担当」 |
| 人数 | 「6名のチームで、うち後輩2名の指導を担当」 |
| 件数 | 「年間およそ120件の案件を管理」 |
| 規模 | 「年間予算◯千万円規模の執行管理」 |
| 頻度 | 「月次の報告資料を5年間作成」 |
正確な数字が分からないときは、「およそ」「約」「◯名規模」と書けば十分です。分からないものを断定するより、ずっと安全です。
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手順③AIに下書きを作らせる
ここでようやくAIの出番です。棚卸しの結果を、そのまま貼り付けます。
プロンプト例と出力サンプル
・読み手:中途採用の書類選考担当者
・文体:である調、簡潔に
・分量:150〜200字
・メモに書かれていない実績・数字を追加しないでください
・社内でしか通じない言い回しは、一般的な言葉に置き換えてください
・置き換えた箇所があれば、最後にリストで教えてください
【メモ】
(棚卸しの箇条書きを貼る)
太字の2行が要です。1行目がないと数字を創作します。2行目と3行目を入れておくと、「その言い方、社外に通じないですよ」という指摘がまとめて返ってくるので、自分では気づけない点が拾えます。
以下は、実在しない架空の経歴で試したときの出力例です(内容は説明用のサンプルです)。
【一般的な言葉に置き換えた箇所】
・「点検記録のデータ化」→ 社内独自の呼称があれば、応募先に伝わる表現へ調整してください
見てのとおり、渡した情報以上のことは書かれていません。効果や削減率といった数字が入っていないのは、私が渡していないからです。ここに勝手な数字が入っていたら、そのプロンプトは失敗です。
自己PRの作り方
自己PRは「強みを1つに決める」のが一番難しい部分です。私は先に3案出させて、選ぶやり方に落ち着きました。
・それぞれ違う強みを軸にしてください
・各パターンの冒頭に、何を強みとして選んだかを一言で書いてください
・メモにない実績は使わないでください
・抽象的な誉め言葉(「コミュニケーション能力が高い」等)ではなく、行動の事実で示してください
【メモ】
(棚卸しの箇条書きを貼る)
最後の指示が効きます。これを入れないと「責任感が強く」「粘り強く」といった、誰にでも当てはまる文章になります。行動の事実で示させると、自分でも忘れていた強みが浮かんできます。
3案が出たら、いちばん自分がしっくりくるものを選んで、自分の言葉に直します。 ここで手を加えないまま使うと、面接で自分の話として語れません。
応募先ごとに調整する
同じ職務経歴書を全社に出すのは、正直もったいないです。とはいえ毎回一から書くのも現実的ではありません。
私は「土台の職務経歴書を1つ作って、応募先ごとに強調する順番だけ変える」やり方にしています。AIには求人票の文面を渡して、こう頼みます。
・合致している点を挙げてください
・足りていない点も正直に挙げてください
・職務経歴書の中で順番を入れ替えたほうがよい箇所を教えてください
・文章の内容は書き換えず、指摘だけにしてください
最後の一行がポイントです。書き換えさせずに指摘だけもらうと、修正は自分の手で行うことになるので、内容を把握しないまま提出する事故が防げます。
「足りていない点」を先に把握しておくと、面接で聞かれたときに黙り込まずに済みます。ここは正直に出してもらったほうが得です。
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書類通過後の面接対策にも役立つ一冊。職務経歴書で伝えたことを面接でどう話すか、の流れで読むと効果的です。
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最後に必ずやる3つのチェック
①書いてある事実を、全部説明できるか
1行ずつ指でなぞって、「これは面接で説明できるか」を確認します。説明できない行は消します。 どれだけ見栄えがよくても、答えられなければ逆効果です。
②数字の根拠が手元にあるか
「およそ120件」と書いたなら、なぜそう言えるかを自分で説明できる状態にしておきます。
③自分の言葉になっているか
声に出して読んでみて、自分が普段使わない言葉があれば書き換えます。面接は書類の続きです。 文体が違いすぎると、そこで違和感が出ます。
よくある質問
Q. AIで書いたことは応募先に分かりますか?
断定はできませんが、分かるかどうかより「面接で自分の言葉として話せるか」のほうが重要だと考えています。棚卸しを自分でやって、最後に自分の言葉へ直していれば、それはあなたが書いた書類です。
Q. 経験が浅くて書くことがありません
棚卸しが足りていないことがほとんどです。「言われてやったこと」ではなく「自分が判断したこと」「気づいて変えたこと」を探してみてください。小さな改善でも、判断の跡が見えれば十分伝わります。
Q. 転職エージェントの添削とどちらがいいですか?
役割が違うと思っています。AIは下書きを早く作るのに向いていて、エージェントはその業界で何が評価されるかを知っています。AIで下書きを作ってからエージェントに見てもらうと、相談の質が上がります。
Q. 現職に知られないか心配です
会社のパソコンや会社アカウントで作業しないでください。これが一番の対策です。 私用の端末・私用のアカウントで行い、業務時間外に進めるのが基本です。
Q. どのAIを使えばいいですか?
長い文章を扱えるものであれば大きな差は感じませんでした。選び方はClaude Codeとは?非エンジニア向けに料金と使い方を解説にまとめています。仕事の文書全般での使い方はAIで報告書を書く方法もあわせてどうぞ。
- 手が止まる原因は文章力ではなく棚卸し不足。ここはAIに代われない
- AIが得意なのは社内の言葉を、外に伝わる言葉へ翻訳すること
- 職務経歴書は事実の書類。盛れば経歴詐称になり、内定取消や解雇の理由にもなりえる
- プロンプトに「メモにない実績・数字を追加しない」を必ず入れる
- 取引先名・非公開の金額・他人の氏名は匿名化してから渡す
- 数字は分かる範囲で。「およそ」「約」で十分
- 自己PRは3案出させて選ぶ。「行動の事実で示して」と指示する
- 応募先に合わせるときは書き換えさせず、指摘だけもらう
- 提出前に「1行ずつ、面接で説明できるか」を確認する
- 会社のPC・会社アカウントでは作業しない
AIを使って一番よかったのは、文章が速くできたことより「自分のやってきたことが、思っていたより書けるものだった」と分かったことでした。転職するかどうかは別として、キャリアの棚卸し自体は一度やっておく価値があると思います。


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