AIで会議のアジェンダを作る
目的・議題・時間配分
会議の招集メールに「議題:〇〇について」とだけ書いて送る。当日、集まってから「今日は何を決めるんでしたっけ」と始まる。私が何度もやってきた会議です。
アジェンダ(会議の進行表)を作ればいいことは分かっていました。でも、作るのに30分かかる。だから省く。その30分を、AIに下書きを頼むことで5分にしました。
この記事は、会議のアジェンダをAIに下書きさせて、自分で仕上げる手順です。AIが作るのは「型」だけで、何を決める会議かは自分で決めます。あわせて、会社の情報をどこまでAIに入れていいかの線引きも書きます。ここは会社のルールが最優先です。
アジェンダに要る3つ【目的・議題・時間配分】
アジェンダは、凝ったものは要りません。次の3つがあれば足ります。
| 要素 | 何を書くか | ないとどうなるか |
|---|---|---|
| 目的 | この会議が終わったときに、何が決まっているかを1行で | 「何のための会議か」を当日に話し始める |
| 議題 | 目的に至るために話すことを、順番に3〜5個 | 話が脱線して戻ってこない |
| 時間配分 | 議題ごとの分数。合計が会議時間に収まるか | 最初の議題で時間切れ |
この中で一番大事なのは「目的」です。「〇〇について」は目的ではありません。「〇〇の担当と期限を決める」が目的です。ここが1行で書けない会議は、たぶん開かなくていい会議です。
AIに頼む前に自分で決めること
AIに「会議のアジェンダを作って」とだけ頼むと、それらしい表が返ってきます。でも、それはどこの会社の、何の会議でもないアジェンダです。使えません。
頼む前に、次の4つをメモに書きます。3分で終わります。
- 目的(1行)——「来月のイベントの担当と期限を決める」
- 会議時間——30分、60分
- 参加者の立場——「担当者3人と上司1人」のように役割だけ。名前は書かない
- 決まっていること・決まっていないこと——「日程は決定済み。担当と予算が未定」
この4つがそろっていれば、AIの下書きはかなり使えるものになります。逆に、この4つが自分で書けないなら、AIに頼んでも使えない下書きが返ってくるだけです。
頼み方【実際のプロンプト】
私が使っている頼み方です。ClaudeでもChatGPTでも同じです。
・目的:(1行)
・会議時間:(分)
・参加者:(役割だけ)
・決まっていること:(箇条書き)
・決まっていないこと:(箇条書き)
出し方:
・「目的」「議題(3〜5個・順番つき)」「各議題の時間(分)」「終了時に決まっているべきこと」の4項目
・時間の合計は会議時間の9割までにして、残りは予備
・議題は「決まっていないこと」から作ってください。決まっていることは確認だけにして、時間を割かない
・書かれていない情報は補わず、「要確認」と書いてください
「時間の合計は9割まで」を入れる理由は、AIは会議時間ぴったりに埋めてくるからです。予備がないアジェンダは、1つ長引くと全部崩れます。
「決まっていないことから議題を作って」は、決まっていることの説明に時間を使う会議を防ぐためです。私の会議は、たいていこれで長くなっていました。
返ってきた下書きをどう直すか
返ってきた下書きは、そのままでは使いません。直すのは主に3か所です。
- 議題の順番——AIは「重要な順」に並べがちですが、実際は「他の議題の前提になるもの」を先にします。予算が決まらないと担当が決まらないなら、予算が先です
- 時間配分——AIは均等に割ります。実際は、もめそうな議題に時間を寄せます。どれがもめそうかは、参加者を知っている自分にしか分かりません
- 「終了時に決まっているべきこと」の言葉——「方向性を確認する」のようなぼんやりした言葉は、「担当者名と期限が決まっている」のように、決まったかどうかが判定できる言葉に直します
直したアジェンダは、会議の前日までに参加者に送ります。当日に初めて見せるアジェンダは、ないのと同じでした。
実例:30分の定例会議
架空の例ですが、私が実際に使っている形です。
1. 前回からの変更点の確認 ……… 3分
2. 未定の作業の洗い出し ……… 7分
3. 担当の割り振り ……… 10分
4. 期限の確認と次回までの宿題 ……… 7分
(予備 3分)
【終了時に決まっていること】
・未定の作業すべてに担当者と期限がついている
・次回の定例までに各自がやることが1行で言える
このくらいで十分です。凝った書式より、「終了時に決まっていること」が書いてあるかどうかで、会議の質が変わりました。感覚の話なので、測ったわけではありません。
会議のあとの議事録も同じ考え方で作れます。手順はAIで議事録を作る方法【プロンプト例と社内ルールの注意点】に書きました。アジェンダの「終了時に決まっていること」が、そのまま議事録の骨組みになります。
会社の情報の線引き【入れていいもの・ダメなもの】
ここが一番大事です。会社の情報をAIに入れていいかどうかは、会社のルールが最優先です。会社が業務でのAI利用を禁止しているなら、この記事の方法は使えません。就業規則や情報管理のルールを先に確認してください。
そのうえで、使える環境にいる場合の、私の線引きです。
| 入れていいもの | 入れないもの |
|---|---|
| 会議の目的(一般化したもの) | 顧客名・取引先名・案件名 |
| 参加者の役割(担当者・上司) | 参加者の氏名・部署名 |
| 議題の種類(担当決め・期限決め) | 金額・売上・未公開の計画 |
| 会議時間・回数 | 社内資料の貼り付け・議事録の原文 |
コツは、「イベント」「案件A」「担当者」のように、置き換えてから渡すことです。アジェンダの型を作るのに、本当の名前は要りません。返ってきた下書きに、自分で本当の名前を入れます。
私は、置き換えたあとの文章を読んで「これが社外に出ても困らないか」を1回考えてから送ります。困るなら、まだ置き換えが足りません。
自分で最終確認すること
AIの下書きは、会議を知りません。最後に自分で見るのは次の3つです。
- 目的が1行で、判定できる言葉になっているか——「決まっている」「合意している」で終わるか
- 時間の合計が会議時間を超えていないか——AIは足し算を間違えることがあります。自分で足します
- 置き換えた名前を、本当の名前に戻したか——「案件A」のまま参加者に送ると、逆に混乱します
会議の招集メールにアジェンダを添えるときの文面はAIでビジネスメールを書く方法【型とシーン別プロンプト集】の型が使えます。
よくある質問
Q. 議題が多すぎて時間に収まりません
会議を分けるか、議題を減らします。AIに「30分に収めて」と頼むと、1議題3分のような無理な配分が返ってきます。収まらないのは配分の問題ではなく、量の問題です。「この会議で決めなくていいもの」を自分で外します。
Q. 相手が出してきたアジェンダにも使えますか?
使えます。もらったアジェンダを(名前を置き換えてから)渡して、「目的が1行で書かれているか」「終了時に決まっていることが書かれているか」を確認させると、抜けが分かります。ただし、相手のアジェンダを勝手に直して送り返すのは失礼なので、質問の形にします。
Q. 毎週の定例会議でも毎回作りますか?
型は1回作れば、あとは「決まっていないこと」を入れ替えるだけです。5分もかかりません。私は前回の議事録の「次回までの宿題」を、そのまま次回の「決まっていないこと」に入れています。
Q. 上司に「AIで作った」と言うべきですか?
会社のルールによります。私は、下書きをAIに頼んでも、中身は自分で決めて自分で直しているので、「自分が作った」と言っています。ただし、会社がAI利用の申告を求めているなら、それに従います。隠すために使うものではありません。
Q. 報告書や提案資料も同じ方法でできますか?
考え方は同じです。「AIに型を作らせて、中身と判断は自分」です。報告書はAIで報告書を書く方法【月次報告のプロンプト例と社内ルールの注意】に書きました。
- アジェンダに要るのは目的(1行)・議題(3〜5個)・時間配分の3つだけ
- 「〇〇について」は目的ではない。「〇〇の担当と期限を決める」が目的
- 頼む前に目的・時間・参加者の役割・決まっていること/いないことを3分で書く
- プロンプトに「時間は9割まで」「決まっていないことから議題を作る」「補わず要確認」
- 直すのは議題の順番(前提になるものを先に)・時間の寄せ方・判定できる言葉
- 会社のルールが最優先。顧客名・氏名・金額・社内資料は入れず、置き換えてから渡す
- 最後に目的の言葉・時間の合計・名前の戻し忘れを自分で見る
AIにアジェンダを頼むようになって変わったのは、会議の質というより、「この会議、何を決めるんだっけ」を会議の前に自分に問う癖がついたことです。目的が1行で書けない会議は、開く前に気づけるようになりました。効果を測ったわけではないので、そこは正直に、実感の話です。

コメント